この記事は、私がずっと書きたかった記事です。
西日本豪雨の被災地で、重度の卵・乳アレルギーを持つ子どもと一緒に被災した経験から、どうしても伝えたいことがあって。
あのとき感じた「怖さ」と「気づき」を、同じようにアレルギーっ子を育てるお父さん・お母さんに届けたくて、いつかきっと書こうと思っていた話です。
「備えなきゃとは思ってるけど、まだできてない」
そんなあなたに、読んでほしい。
アレルギーっ子がいる家庭の「備え」は、一般的な防災グッズリストでは足りません。
我が子の命を守れるのは、自分たちだけかもしれない——そのことを、あの災害が教えてくれました。
長い記事になりますが、最後まで読んでもらえたら嬉しいです😊
1.あの日のこと
2018年7月、西日本を襲った豪雨災害。
わたしたちが住む地域も、その被害を受けました。
雨が降り続いた夜、近くを流れる川があふれ、道路も田んぼも溝も、全部がつながって大きな湖のようになりました。
どこが道で、どこが溝なのかも分からない。
そんな状態の中、救助に来た救急車が溝に落ちて動けなくなる、という出来事もありました。
東西南北、四方八方の道が土砂崩れで通行止め。
わたしたちの地域は、完全な「陸の孤島」になりました。
幸い、我が家は少し小高い場所にあったため、川からあふれた水が家まで上がってくることはありませんでした。
家の中にいられる。それだけで、どれだけ救われたか。
でも、水道は止まりました。
2週間、断水が続きました。
料理ができない。
お風呂に入れない。
トイレも思うように使えない。
「水がある」という当たり前が、いかに大切だったか——あの2週間で、骨の髄まで分かりました。
2.食べるものが、なかった…。
豪雨から2〜3日が経ち、通行止めが解除された道が少しずつ出てきました。
「お店が開いてるらしい」という情報を聞いて、夫が買い出しに行ってくれました。
大きなスーパーにもかかわらず、店内の食品棚はほぼ空っぽ。
それでもお店の方が、カップラーメンやレトルト食品を一生懸命品出ししてくれていました。
普通の家庭なら「助かった!」となる場面です。
でも、我が家は違いました。
重度の卵・乳アレルギーがある長男が食べられるものは、ほとんど手に入りませんでした。
買ってきてくれたのは、お菓子数点と缶詰だけ。
水道が止まっているから、家で料理もできない。
料理さえできれば、長男が食べられるものを用意できるのに——それが、一番つらかった。
数日後、スーパーに少しずつお惣菜が並び始めました。
原材料を確認すると、アレルゲンが入っていないものも、中にはありました。
でも、買えませんでした。
コンタミネーション(※製造過程で他の食品のアレルゲンが混入するリスクのこと)の心配もある。
食べたことのないお惣菜を、こんな状況で試すことはできない。
もし何かあったとき、
救急車はすぐに来てくれるのか。
病院にたどり着けるのか。
——そんなことが頭をぐるぐると駆け巡りました。
そして、もう一つ、できなかったことがあります。
自分たちだけお惣菜を買って食べることも、できませんでした。
レトルトや非常食を食べている長男を目の前にして、自分たちだけ美味しそうなお惣菜を食べるなんて、とてもじゃないけどできなかった。
家族みんなで、同じものを食べる。
それだけのことが、こんなにも難しかった。
「もし誤食があったら、長男の命を守ることができないかもしれない…」
夫婦でそんな話をしたこと、今でも忘れられません。
アレルギーっ子を持つ親なら、この怖さ、分かってもらえると思う。
3.我が家を支えてくれたもの
道路が寸断され、物流が止まり、水道も使えない日々。
スーパーに行っても、食料品の棚はほとんど空っぽ。
食べるものが手に入らない。料理もできない。
そんな状況の中で、我が家を支えてくれたものがありました。
🔶 ひとつ目は、備蓄品でした。
普段から少しずつ買い置きしていたストックや、もしものときのための備蓄品。
インスタントやレトルト食品だけでなく、冷凍食品(野菜など)も本当に助かりました。
Amazonでまとめ買いしていた、豆乳、アーモンドミルク、水、おしりふき、おむつ。
「ストック大事!」「備えておいてよかった!」と、心から思いました。
🔶 ふたつ目は、両親の存在でした。
私の実家は、水道ではなく地下から水を汲み上げる井戸水を使っていたため、断水の影響を受けていませんでした。
その両親が、飲水、トイレ用の水、長男が食べることのできる手料理、フルーツや子どもたちが喜びそうな食材をたくさん届けてくれました。
そして、お風呂にも入りに行かせてもらいました。
災害時にあったかいお風呂に入れることが、衛生面だけでなく、心の健康を保つためにどれだけ救いになるのか知りました。
あのときの「ありがとう」は、言葉では言い尽くせません。
🔶 そして、地域の人たちの温かさでした。
田舎ならではのことかもしれませんが、近くに住む方が畑で育てたトマトやきゅうりを持ってきてくれました。
こんな状況の中で、とれたてのお野菜は本当に貴重で、とても美味しかったです。
長男にアレルギーがあることを知っていてくれるから、「食べるものは大丈夫?」と心配して声をかけてくれる。
気にかけてもらえる、それだけで、どれほど救われたか。
災害のとき、人の温かさが身に染みました。
普段からご近所さんと顔見知りでいること、
子どものアレルギーのことを知ってもらっていること。
それが、いざというときの「助け」につながるんだと実感しました。
防災グッズと同じくらい、日頃からの関係づくりも大切な備えだと思っています。
4.あの経験から変えた「我が家の備え」
あの西日本豪雨の経験から、我が家の備えは大きく変わりました。
同じ思いをするアレルギーっ子家庭が、一つでも減ってほしい。
そんな気持ちで、具体的にお伝えします。
🗓️ 備蓄は「最低3日分」——でも、アレルギーっ子家庭はもっと必要!
農林水産省は、災害時の食料備蓄として最低3日分、できれば1週間分を推奨しています。
地域の状況によっては2週間分以上備えることも大切とされています。
でも、あの西日本豪雨で断水が続いたのは2週間でした。
「最低3日分」では、全然足りなかった。
そして、アレルギーっ子がいる家庭には、もう一つ大きな問題があります。
スーパーに食料が戻ってきても、
アレルギーっ子が食べられるものはほとんどない——それが現実だからです。
☝️ 一般的な備蓄の目安より、多めに❗️
アレルギーっ子がいる家庭は、そのくらいの意識で備えてほしいと思っています。
🍙 食べ物の備えは「食べ慣れたもの」で
まず、あのとき気づいたことがあります。
アレルギー対応のレトルト食品を備蓄していても、長男はほとんど食べませんでした。
食べ慣れていないから、おいしくないと感じてしまう。
災害時はただでさえストレスがかかっているのに、食べ慣れないものは余計に食べられない。それが現実でした。
備蓄食は、日頃から食べているものであることが大前提。
災害時のアレルギーっ子には、初めて食べるものへの緊張感は予想以上に大きいものでした。
いつも食べているものを食べられるという“安心感”を準備してあげてください。
☝️「ローリングストック(※備蓄品を日常的に使いながら補充し、常に一定量をキープする方法)」で、普段から食べる機会を作っておくことが大切だと実感しました。
📋 我が家のアレルギー対応備蓄リスト
長男が“食べたことがあるもの”で、日持ちがするものを中心にそろえています。
(※アレルギー対応のものを含めて、原材料を確認したものです)
🔶 主食・主菜になるもの
- アルファ米・パックごはん
- お餅(きな粉・砂糖をかけるだけで食べられる)
- コーンフレーク・シリアル
- 缶詰(魚や果物など)
- レトルトや常温保存できるパックの食材(大豆もやしキムチ・煮豆・胡麻豆腐・紙パックの豆腐)
- 乾物類(うどん・そうめん・海藻サラダ)
- インスタント食品(みそ汁・スープ・カップ麺など)
🔶 野菜・栄養補給
- トマトジュース・野菜ジュース
- 豆乳・アーモンドミルク
- 常温保存できる野菜・フルーツ
- 栄養補給ゼリー
🔶 あると助かるもの
- 海苔・ふりかけ
- 食べ慣れたお菓子(ホッとできる大事な存在!)
- ドライフルーツ・ナッツ
- コーラ・炭酸飲料、コーヒー・紅茶などの嗜好品
☝️ お菓子や嗜好品は、絶対に必要なものではありません。
でも、これらがあると辛い環境下でも、ほっと一息つき“笑顔”になれます😊💕
🚰 水が止まったときの備え
断水で一番困るのは、料理ができないこと。そして衛生面です。
- 紙皿・紙コップ・割り箸(洗い物を出さない)
- サランラップ(お皿に敷いて使い回せる)
- おしりふき・ウェットシート(これは絶対に備蓄して!)
- 給水タンク(給水車による水の配給がある🚰)
- バケツ(あるだけで全然違います。色んな場面で活躍しました🪣)
長男はアトピーもあるので、水が使えない状況でノンアルコールのウェットシートで体をこまめに拭いてあげました。
手洗いが満足にできない状況でも、除菌のウェットシートがあるだけで全然違います。
☝️ これらは店頭からすぐに消えてしまうので、常にストックを切らさないようにしておく❗️
トイレットペーパー、オムツ、おしりふき・ウェットシート・生理用品
☝️ 非常用トイレの備えも、忘れずに。
💊 薬・エピペンの管理
薬の備えも、必ず忘れずに。
アレルギーっ子には、飲み薬や塗り薬など、日常的に使っている薬があることが多いです。処方薬は災害時にすぐ手に入るとは限りません。
お薬手帳と一緒に、少し多めにストックしておくと安心です。
そして、「エピペン」を処方されている場合は、保管場所に特に気をつけてください。
我が家では、普段は学校のカバンに入れて常に持ち歩き、警報が出て避難が必要になるかもしれない夜は、避難用リュックに入れて寝るようにしています。
☝️ エピペンは、我が子の命をつなぐ大切なもの。
いざというとき、すぐに取り出せる場所にあることが何より重要です。
※ もしものときのために、長男は「エピペン持っています」と書いてあるキーホルダーをリュックに付けています🎒
🎒 避難用リュックは「一人ひとり」で備える
警報が出そうなときは、各自リュックを用意するようにしています。
リュックの中身は、水・下着・タオル・薬・ビニール袋・保険証・お薬手帳・連絡カードなど必要最低限のもの。
そして、残ったスペースには食料を入れています。
我が家では、食事もおやつも、家族みんなが同じものを食べます。
長男が食べられるものを、家族全員で食べる——それが我が家のスタイル。
だから、それぞれのリュックに入っている食料は、みんながいつも食べているもの。
次男も、自分の大好きなお菓子を自分のリュックに詰めています。
でも、避難所では長男が食べられるものがほぼないことも想定しています。
そのとき、みんなのリュックの中にある食料が、長男を守ることになる。
☝️ 避難用リュックは、一人ひとり準備する‼️
もし家族がバラバラになっても、
子どもたちが“生き延びられるように”。
そして、みんなのリュックに入っているものが、
“長男くんの食料にもなる”ように。
——そんな気持ちで、家族みんなで「同じもの」を持って出る。
それが我が家のやり方です。
🚗 車のガソリンは普段からこまめに給油しておく!
災害時にはガソリンスタンドでの給油も、制限がかかったり、できなくなる可能性があります。
西日本豪雨のときも、ガソリンスタンドに続く道は長蛇の列になっていました。
いざというときに困らないように、普段からこまめに給油をしておくことが大切です⛽️
☝️ 万が一のとき、病院へ行けるように、ガソリンをある程度キープしておくこと‼️
5.アレルギーっ子家庭への心構え
最後に、同じようにアレルギーっ子を育てるお父さん・お母さんへ、どうしても伝えたいことがあります。
☝️ 避難所に、アレルギー対応食はないと思っておく
災害が起きたとき、アレルギーっ子の食べものはどうなるのでしょうか。
しばらくすると、避難所には食料が届く。
でも、その中に我が子が食べられるものがあるとは限りません。
コンビニのおにぎりや菓子パンが配られても、それが食べれないものだったら?
混乱する避難所で「うちの子、アレルギーがあってこれ食べられないんです。」と伝えても、「今はこれしかないんです…」と言われたら?
避難所での炊き出しや配られる食料に、
アレルギーっ子が食べられるものはない‼️——(かもしれない)
そのくらいの覚悟を持っておいた方がいい、と私は思っています。
「なぜアレルギー対応食がないんだ」と声を上げることも、大切なことかもしれません。
でも、災害の現場で、我が子がお腹を空かせている目の前で、それを待っている時間はありません。
☝️ 我が子の食べるものは、自分たちで準備する。
これが、あの経験から得た、一番大切な教訓です。
☝️ 備えは「もしも」じゃなくて「必ず」のために
「備えなきゃとは思ってるけど、まだできてない」
その気持ち、すごくよく分かります。
わたしもそうでした。
でも、災害はある日突然やってきます。
「そのうち備えよう」では間に合わないことを、あの豪雨が教えてくれました。
物流が止まり、ライフラインが止まり、陸の孤島状態になるなんて・・・
そんなことが自分の身に起きるなんて想像もしていませんでした。
アレルギーっ子がいる家庭にとって、
備えは「あったら安心」ではなく、「なければ命に関わる」ものです。
今日、一つだけでいい。
備蓄を始めてみてください。
私が「災害時の備え」を準備するとき、常に意識していることがあります。
それは——万が一、私や夫に何かあったとき、
アレルギーっ子の長男と次男が「生き延びることができるように」。
そう意識すると、自ずと準備するべきものが見えてきます。
もし息子たちが私たちと離れ、避難所生活をしなければならなくなったとき。
寂しさや辛さを、束の間でも紛らわすことができるように——
「大好きないつものチョコレート(アレルギー対応)も入れておこう」
なんて考えながら、リュックに詰めています。
「災害時の備え」は、”生き延びるための備え”です。
どうか、自分と大切な人の命を守るための備えをしてください。
「もしも」の日に、あなたの大切な人が 安心してごはんを食べられるように。 今日の小さな備えが、きっと愛する人の命を守るわ🍀





